理事長挨拶
2024年4月1日
衛生学(Hygiene)の語源は、古代ギリシャ神話の神Aesculapiusの娘で、“健康の女神”であるHygeriaに由来しております。日本衛生学会は、当時国民病であった脚気の論争を経て、1902(明治35)年の「衛生学」「細菌学」「伝染病学」が連合して日本医学会の一部会となり、その後、1929(昭和4)年第1回日本聯合衛生学会が開催されました。衛生学はもともとヒトの内的および外的環境との関係を基本としており、これまで実学としての学問的展開を志してきたと言えます。
衛生学の究極の目標とは、過去・現在・未来と変わることなく、健康で豊かな未来のために、人間―環境系の中でヒトが生きることをどのように衛るべきかを解明していくことにあると思います。劇的に技術革新が進む中、その守備範囲が広く学際的、統合的な衛生学が担うべき役割はかつてなく大きくなっていると痛感いたします。歴史と伝統のある日本衛生学会は近く100周年を迎えることとなります。日本衛生学会は社会生活の変革を刻む羅針盤であり、社会にとって極めて大きな使命を担っていると考えます。会員はもとより社会に向けて、魅力ある学会を目指してまいります。
学会の持続化検討対策に取り組んでまいります
学会の持続化検討対策は最も重要な課題と認識しております。若手の力は学会の更なる活性化に不可欠です。若手育成とともに研究会活動を活性化し関連学会との連携を促進し、実り多い議論がなされるよう積極的に推進してまいります。
学会の発展は、学会誌である日本衛生学雑誌およびEHPMの関与が欠かせません。このところ、歴代の編集委員長ご尽力のもと、念願であったEHPMのインパクトファクターも上昇しております。今後学会員の求心力となるよう更なる工夫を重ねて一層の充実を目指してまいります。
衛生学エキスパート制度のさらなる発展につとめます
衛生学エキスパート制度は衛生学の専門家として内外に認められている資格です。今後、日本衛生学会の特徴ある活動の一つとしてさらに発展させてまいります。
会員の皆さまの率直なご意見等を真摯に拝聴するとともに、時代のうねりを追い風として、社会からの期待に応えて学会を一層発展させて参りたく存じます。皆さまからのお力を賜り、精一杯尽力して参ります。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。